「相続税の基礎控除額」って知っていますか?

どんな場合に相続税がかかるの?かからないの?
皆さん、どんな場合に相続税がかかるか・相続税の申告をしなければならないかご存じですか?
どんな場合に相続税がかかるか前もってわかっているば安心ですよね。




相続がおきたら…

1. どうひっくりかえっても相続税がかからない場合

2. 相続税の申告さえすれば相続税がゼロになる場合

3. どうひっくりかえっても相続税がかかる場合 

のどれかに該当します。


ではどういう場合に「どうひっくりかえっても相続税がかからない」のでしょう。 
これから「どうひっくりかえっても相続税がかからない」場合はどんな場合かお話ししていきますね。


どうひっくりかえっても相続税がかからない場合って
どんなとき?… 


★まずは、ざっとの相続税の計算方法をご説明します。


➀ 預金、不動産などの財産の合計金額から借入金、未払金などの債務と葬式費用の合計金額から差引きます。これが差引正味財産となります。

➁ 差引正味財産の金額から相続税の基礎控除額を差引きます。差引いた後の残額が相続税課税対象額となります。つまりこの「相続税課税対象額」に相続税がかかるわけです。


つまり

★ 借金のほうが財産よりも多ければその「正味財産」の金額はマイナスになるので相続税がかかる心配はない

★「基礎控除額」が「正味財産」の金額より多ければ「相続税課税対象額」もマイナスになるので、相続税はかからない、ということになります。                          

「基礎礎控除額」が「差引正味財産」の金額より多ければ、相続税はどうひっくりかえってもかからないのです。また、相続税の申告もする必要もないのです。

「基礎控除額」がいくらなのかわかっているといいですよね


では…

基礎控除額ってなんでしょう?


基礎控除額とは、正味財産がその金額までなら相続税がかからないという金額です。
基礎控除額は、次の計算式で計算します。

3,000万円+600万円×法定相続人の数

どなたにでも最低3,000万円の基礎控除額があり、3,000万円と600万円に法定相続人の数を掛けた金額の合計額です。
例えば、法定相続人が2人の場合、3,000万円+600万円×2人=4,200万円 となります。

法定相続人てなんでしょう?


法定相続人とは…
民法により定められた、遺産を相続できる人のことで、配偶者と亡くなられた方(被相続人といいます)と血縁関係のある人です。
また、被相続人との続柄によって法定相続人になる順番(相続順位といいます)が決まっています。
養子も、亡くなられた方(被相続人)と血縁関係がなくても実子と同じ扱いとなり法定相続人になりますが、「法定相続人の数」に算入するのには人数制限があります。
法定相続人と相続順位をまとめるとこんな感じになります。

【第1順位】

  1. 亡くなられた方に配偶者(夫や妻)と子供がいる場合は、配偶者と子供が法定相続人となります。亡くなられた方の父・母が健在でも、その父・母は法定相続人にはなれません。
    まず、「配偶者+子供」が1番です。⇒ 第1順位

上図の場合、相続人は配偶者と子2人の合計3人

基礎控除額は 3,000万円+600万円×3人=4,800万円

差引正味財産が4,800万円なら、相続税の申告の必要はなく相続税もかかりません。

2. 配偶者がいない・すでに亡くなっているときは、子供のみが法定相続人となります。

3. 子供がすでに亡くなっており、孫がいるときは孫が、孫が亡くなっていてひ孫がいるとき            はひ孫が法定相続人になります。これを代襲相続といいます。

上図で、亡くなられた方よりも先に息子が亡くなっていた場合、法定相続人は配偶者、娘、孫2人の4人になります。

基礎控除額は、3,000万円+600万円×4人=5,400万円

すでに亡くなっている息子の配偶者は、法定相続人ではありません。(亡くなられた方の養子になっていれば法定相続人になります。)


【第2順位】

  1. 亡くなられた方に子供も孫もひ孫もいない、すでに亡くなっている場合は、配偶者と父・母が法定相続人になります。

「配偶者+父・母」が2番です。⇒ 第2順位

2. 配偶者がいない・すでに亡くなっているときは、父・母のみが法定相続人になります。

   もし、父・母が亡くなっており、祖父・祖母が健在なら、祖父・祖母が法定相続人になり      ます。

3.  亡くなられた方に子供・孫・ひ孫・父・母・祖父・祖母もいない、すでに亡くなっている

     場合は、配偶者と兄・姉・弟・妹が法定相続人になります。


【第3順位】

  1.  亡くなられた方に子供も孫もひ孫もいない・すでに亡くなっており、父母・祖父母をすでになくっている場合には配偶者と兄弟姉妹が法定相続人になります。

   「配偶者+兄・姉・弟・妹」が3番です。⇒ 第3順位

2. 配偶者がいない・すでに亡くなっているときは、兄・姉・弟・妹が法定相続人になりま  す。もし、兄・姉・弟・妹が亡くなっていたときはその子供(甥・姪)が法定相続人にな     ります。これも代襲相続といいます。

   甥・姪が亡くなっていたときは、その子供は法定相続人にはなりません。代襲相続は甥・       姪までです。

  上図の場合、亡くなられた方に子供、孫、ひ孫、父母、祖父母、配偶者もいない場合は、法    定相続人弟と妹の2人

  基礎控除額は 3,000万円+600万円×2人=4,200万円

  差引正味財産が4,200万円なら、相続税の申告の必要はなく相続税もかかりません。




まとめ

  1. 「どうひっくりかえっても相続税の心配」がないかを知るには、まず、正味財産がどのぐらいあるかということと基礎控除額を把握しておきましましょう。
  2. 基礎控除額の計算には、「法定相続人がだれで何人か」を把握しておくことが必要です。
  3. 正味財産の金額が基礎控除額以下ならどうひっくりかえっても相続税の心配なし。申告も不要。

ちょっと一言

実際の相続税の申告では、ケースごとに遺産総額・正味財産の金額も違うし、基礎控除額も違うのでたとえば、AさんとBさんが同じ500万円の遺産を相続したとしても、Bさんは相続税の申告不要となり、Bさんには相続税がかかるということが起こります。


山好きおばちゃん税理士 若尾正子税理士事務所

東京税理士会所属 税理士 若尾正子のホームページです。