法定相続人の数 養子の算入制限
「相続税の基礎控除額って知っていますか?」で…
● 正味相続財産が相続税の基礎控除額以下ならどうひっくりかえっても相続税はかからない
● 相続税の基礎控除額は3000万円+600万円×法定相続人
というお話をしました。
となると…
節税のために大勢養子にして法定相続人の人数をふやそう!と考えがちですが…
今の税法では、相続税の基礎控除額を計算する場合の「法定相続人の数」は、実子が1人でもいる場合は、養子が何人いようと養子は1人までとする、実子がいない場合は養子が何人いようと養子は2人までとする
ということになっています。
行き過ぎた節税策がされないように歯止めがかけられているのです。
たとえば
山田さんという女性に5人の子どもがいるとします。夫はすでに亡くなっています。
実子A子さん、実子B子さん、養子C助さん、養子D太さん、E美さんは5人とも山田さんの法定相続人(法定相続人は5人)ですが、相続税の基礎控除額を計算するときの「法定相続人の数」は、3人になります。
実子が2人いるので、養子は3人いても「法定相続人の数」としては養子は1人とします。
山田さんの場合の相続税の基礎控除額は
3,000万円+600万円×3人=4,800万円になります。
もし、山田さんの実子がA子さん1人だけで、養子がC助さん、D太さん、E美さんの3人だったら、実子が1人ですので、養子は2人まで「法定相続の数」に入れられます。
3,000万円+600万円✖3人となります。
あくまでも計算上のことですので、養子C助さん、養子D太さん、養子E美さんとも山田さんの子どもしての相続権はあります。「だれかがのけものになる、養子のうち、だれかが財産をもらえなくなる」ということではありません。
★養子についてですが…
次のいずれかに当てはまる人は、実の子供として取り扱われ、すべて法定相続人の数に含まれます。
➀ 被相続人(=亡くなられた方)との特別養子縁組により被相続人の養子となっている人 ➁ 被相続人(=なくなられた方)の配偶者の実の子供で被相続人の養子となっている人
たとえば、再婚した妻の連れ子でその亡くなられた方の養子になった人です。もし、養子になっていなければ実子扱いはされません。
➂ 被相続人(亡くなられた方)と配偶者の結婚前に特別養子縁組によりその配偶者の養子となっていた人で、被相続人と配偶者の結婚後に被相続人の養子となった人
➃ 被相続人(=亡くなられた方)の実の子供、養子または直系卑属が既に死亡しているか、相続権を失ったため、その子供などに代わって相続人となった直系卑属。なお、直系卑属とは子供や孫のことです。
★昔はこのような制限がなかったので、やたらと(?)と養子を増やして行き過ぎた節税をする事例が多くあったので、それを規制するためにこのような制限ができました。
実際、相続税申告の際、この規定ができる前に相続税対策で養子さんをふやしたのかなと推測されることがあります。
ですが、この規定が作られたあとに相続がおき、節税どころが法定相続人が多すぎて遺産分割がなかなかまとまらないというようなことが起きています。
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